新聞の広告に大きく掲載されていて*1興味を惹かれた本。
結論から言うと、読んでよかった。私は社会人生活10年を超えるているが、著者の常に本質を捉え、合理的に判断し、迅速に実行する姿勢は本書で一貫していて、目からウロコが落ちる思いだった。自分の仕事のやり方を見直そうと思ったし、著者による回想本もKindleで注文した。
全体がどうであるかを把握し、その中でどの木が重要かを判断する。これもシンプルに考えるための一つの手法。
つまり、「本当に必要なこと」だけをピックアップしてつなぐことで、プロセスは大きく削減できる。「スピードを早くする」ということは「大事なことを選び出す」ということでもある。
失敗のない人などいないという当たり前の現実を肝に銘じ、傷口に塩を塗るようなことはせずに、失敗は失敗として認めさせながら立ち直らせる。これが上に立つものの責務である。
当時、私がやったことを後になって考えると、「日本の産業構造が変わる過渡期に、時代の流れを先取りしながら融資先を再編した」ということになる。もし、あの時期に貸出先を変えず、繊維関係を中心としたままだったら、オイルショックの時点で住友銀行は債務超過になったであろう。
来たるべき未来を想像して、そのための準備をするというのが仕事の本質の一つだと思う。
「相手の会社の属する業界の現状」「そこでその会社がどういうポジションにあるのか」「公開されているデータはきちんと頭の中に入れておく」の三つを最低ラインとして考えればいいだろう。