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石田雅彦『企業価値を高める組織・人材マネジメントの思考と実践』

大変勉強になる良書で、人事に携わる中堅・若手の企業人であれば読んで損はない。

理由は、企業価値の増大という大目的のため、人事(施策)はどうあるべきか(具体的には、戦略的人材ポートフォリオとは何でそれをいかに実現するか)を体系的かつ実務に適用可能な形で整理しているため。人事施策の担当者であれば、「戦略的人材ポートフォリオの実現」という観点で、自らの業務を見直す良い機会となる。

自戒を込めて言うのだが、人事担当者は往々にして、目の前の業務に追われ、なんとなく日々のタスクをこなしているうちに、仕事をしているつもりになってしまい、自分たちの業務が本当はどのような目的で行われているか、わかっていない

本書の最大の良さは、人事業務の目的を説得力あるかたちで示したことにあるが、その実現のため、各論(採用・配置(異動)・教育・評価・処遇の「人事5大機能」)として打つべき施策も平易な表現で整理されており、実務上の指針とすることができる(紙幅の都合か、あっさりした記述で概要の紹介にとどまっているのが残念)。

全体を通して、派手さや突飛な主張はない。ただ、こうした目的意識のもと、人事5大機能を整理して実行し、PDCAを回すことができれば、十分企業の競争力を高めることができると思う。