クリストファー・ノーラン監督作品。配信で観られるようになっていたので自宅のプロジェクターで鑑賞。
ストーリーは難解で、初見ではほとんど理解不能。辛うじて、謎解きと、悪役の奥さんを救おうとする主人公の行動原理だけをフォローできる状況。クライマックスの戦争シーンについては、順行世界と逆行世界からの挟み撃ちになっていることも、敵を撃って主人公を助けたのかが誰なのかも(ラストシーンの意味も)理解できなかった。2時間30分を超える大作であり、キエフ、ロンドン、オスロ、ムンバイ、アマルフィ・・・と劇中で舞台がめまぐるしく変転することもあって観るだけで相当エネルギーが要る。
かと言って鑑賞を後悔しているかというと、まったくそんなことはない。まず、ヒロインのエリザベス・デビッキが本当に美しい。彼女をスクリーンで観ていられるだけで幸福なレベルだし*1、主人公が任務を最優先するという諜報員の行動原理を捨ててしまうのも分かる。それから、マイケル,ケーン!序盤の鍵となるアイテムを渡す役だけど、本当に必要なのかというくらい微妙な立ち位置。ただ、画面で見られるだけで嬉しいレベル*2。
時間逆行を用いた派手なカーチェイスだったり、美しいアマルフィのヨットシーンだったり、クリストファー・ノーラン流の007であり、本作はスパイ映画なのだと感じた。環境破壊で地球に住めなくなった未来時の人類が時間逆行を用いて、現代の人類に戦争を仕掛けるというテーマも気候変動が大きな課題となっている現代的なテーマだし*3、そうした問題意識をスパイ映画のテイストで物語に仕上げた超一流の娯楽作品だと思う。