Roo's Labo

腕時計、ラーメン、読書、美術、ときどき仕事

大切な本(吉田の日々赤裸々シリーズ)

どのように吉田プロデューサーを知ったかは覚えていない。おそらく、YouTubeを見ているときにランダムに再生されたファイナルファンタジー16に関するインタビュー動画で、恐ろしいほど明晰に「再建」のコンセプト、道のり、工夫等を自分の言葉でロジカルに語っている姿に惹かれたのだと思う。著書を3冊読み通して、動画を通じて得た印象は間違っていないとの思いが強くなった。

吉田さんは自分のことを「定義厨」と自称し、ミステリのファンであることを公言している。その通り、物事の全体像を、筋道立てて考え、文章を通じて極めて明晰に説明することに長けている。業界のこと。個別のゲームの設定のこと。吉田さんの趣味のスノーボードに関すること。あらゆるエピソードがご自身の理屈に沿って組み立てられている。決して独りよがりではなく、業界全体を見つめる視野と押し付けにならないオープンさがあって、そのスタンスに好感を持った。私自身はゲーム業界から遠く離れたところにいるが、吉田さんと仕事をしたらきっと刺激的で楽しいだろうなと思った。ゲーム業界そのものに興味はなくとも、仕事全般に対する考え方、仕事で成果を出せる人のスタンスを学ぶことに興味がある人にとっては面白く価値のある著作だと思う。