Roo's Labo

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コーン・フェリー・ジャパン『Future of Work』

人事部の分野では世界的に有名なコーン・フェリー・ヘイグループの日本オフィスで働く複数のコンサルタントが、雇用や働き方、キャリアの将来の姿を予測しつつ、企業・個人はどのように向き合うべきかを、自社の調査結果等を中心に紹介する。

トピックは、日本企業の雇用の行方(総論)、時代が求めるリーダーシップのあり方、経営体制・ガバナンスの在り方、組織風土の活性化、DE&I(Diversity, Equity and Inclusion)、自律的なキャリア開発の全6章。

さすがコンサルタントだけあって、論点がまとまっていて読みやすい。ところどころ、これは、とひざを打ってブックマークした箇所も複数ある。しかし、どうも腑に落ちないというか、すっきりしない思いがある。それは、20年前、2000年前後の成果主義導入の際の文脈と、本質的な議論は変わらないのではないかということ。もちろん、ダイバーシティの推進だったり、ガバナンスコードが入って社外取締役が増えたというような各論の変化はあるものの、企業と個人が対等に自立した個として選び・選ばれる関係をというのは20年(あるいはもっと前から)言われていたことではないだろうか。この本の問題では全くないのだが、変わらない(進歩しない)人事の業界を思うと少し気分が暗くなる。そんなことを考えた一冊だった。