前職時代、すごく仕事がしやすいと感じた上司がいた。自分自身が小さなチームをリードする立場になってみて、どうしたらその上司のもとで働いていたように、メンバーたちに感じながら働いてもらえるか、考える中で手に取ったのがこの本。
- 作者:リズ・ワイズマン,Liz Wiseman,グレッグ・マキューン,Greg McKeown,(序文)スティーブン・R・コヴィー,Stephen R. Covey
- 発売日: 2015/04/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
原題はMultipliers: how the best leaders make everyone smarterで、こちらの方が内容を直截的に表している。チームメンバーの能力を引き出し、チームとしてのアウトプットを高めるmultiplier(増幅型)のリーダーと、独善的,管理的に振る舞い周囲を萎縮、疲弊させるdiminisher(消耗型)リーダーを、豊富な実例をもとに対比していく。
本書のもとになった研究によると、増幅型リーダーには5つの側面がある。全部をあげることは割愛するが、自身が最も印象に残ったのが、解放者(その対極にあるのが独裁者)。解放者の定義は以下のとおり。
解放者は人々の最高のアイデアと仕事を引き出すような、緊張感のある環境を作り出す。その結果、メンバーは最も大胆で素晴らしいアイデアを提案し、最善の努力を注ぐようになる。
解放者は次のことを実践する。
- 居場所をつくる
- メンバーを前面に押し出す
- 話すよりも、聞く
- 一貫した行動をとる
- チャンスを平等に与える
- 最高の仕事を求める
- 高い基準を守る
- 結果よりも努力を求める
- 素早い学びのサイクルを生み出す
- 失敗を認め、共有する
- 失敗から学び続ける
失敗を許容するオープンな雰囲気を作りながらも、決して緩くはなく、規律あるチーム運営をするという文脈だと理解した。実戦のハードルは高そうだが、ある種体系化された方法論として参考になる。