感想
☆☆☆☆☆(☆5つ)
前提として、ターミネーターシリーズの20年来のファンです。ターミネーター、ターミネーター2はビデオで数え切れないくらい鑑賞していますし*1、ジョナサン・モストウの3含め2の後継作品も本作(ニューフェイト)を除きいずれも劇場で観ています。
12月24日に自宅で鑑賞。結論、予想を超えて楽しかった。ターミネーター2の後継としては最高の出来で、1・2とニュー・フェイトでターミネーターシリーズは完結と言っていいかもしれない。それくらい楽しめました。
楽しめた理由(メッセージ性)
ターミネーターシリーズのテーマは、「運命などない(There is no fate but what we make by ourselves.) 運命のような大きな力に従うのではなく、自分自身の決断だったり現在の選択を通じてその後の将来を切り開きましょうという力強くポジティブな価値観」だと思っています。本作では、2の結果として、スカイネット対人類の核戦争は防げたものの、人類の救世主となるはずだったジョン・コナーがターミネーターに冒頭で不意打ちされ、命を落とすところから物語が始まります。回避されたはずの暗い運命が、今度はリージョンというAIに形を変えて執拗に人類を殺戮しようとしてきますが、人々を率いて立ち上がるリーダー(ダニー)もまた、生まれており、その未来のリーダーが、サラ(リンダ・ハミルトン)やグレース(マッケンジー・デイヴィス)、シュワちゃんらに庇護され、後半ではともに戦うほどに成長することで、「運命などない」という理念が、世代や血縁関係をも超えて次の時代に受け継がれていくことが力強く描かれていました。
シュワちゃんやリンダ・ハミルトンというターミネーターシリーズの創業期・発展期のメンバーがいなくなっても、人類を守る希望はしっかりと次代に引き継がれていく光明を感じる事ができました。
描き方・キャラクター造形
編集もスピーディで2時間8分という時間を感じさせませんでした。落下する飛行機を舞台とした無重力空間の攻防や、最後の地下室での4対1の戦闘シーンなど緊張感があってよかった。一部に見られた過剰なセルフパロディもなく、全編スリリングな展開で好感が持てました。
また、それぞれのキャラクターも立っていてよかった。
- グレイス(マッケンジー・デイヴィス):美しい。強い。疾い。強化人間としてターミネーター(Rev-9)と対等に渡り合う強さと人間の感情やメンタリティを併せ持つ庇護者として存在感がありました。ラストバトルで鎖をぶん回して敵を切断する様には痺れました。
- サラ(リンダ・ハミルトン):渋い。強い。かっこいい。"I hunt Terminators"のセリフにはヤラれました。冒頭で肉親のジョンを失いますが、将来の人類の救世主となるダニーを我が子のように守り、次代のために育てていく、、まさにターミネーターの聖母マリアです。
- Rev-9 (ガブリエル・ルナ):今作の立役者。ちゃんと怖かったです。無表情で、執拗に、追いかける様子は3以降の敵役で最も怖さがあると感じました。一方で、エンドスケルトンと液体金属の分身攻撃はあんまり効果を発揮していなかったような・・・。
- カール(アーノルド・シュワルツネッガー):結婚して*2子供までいてカーテン屋を営んでいるとは驚き。ジョンの殺害というミッションを果たし終えたあと、自分がどう生きるべきかという目標設定を自力で行ったことがシュワちゃんのセリフでさらっと説明されていますが、ある種その柔軟さは機械=悪に囚われた一部の人間よりもフレキシブルですし、機械も人間も変わることができるという意味で本作の大きなテーマにつながる気がしますが、いかんせん、セリフでさらっと説明したところに若干もやもやしました。
惜しむらくは、音楽でしょうか。クレジットにはブラッド・フィーデルの名前はなく、ターミネーターのテーマを現代的に少しテクニカルにアレンジした印象でしたが、こればかりは2までが強烈すぎる(ターミネーターシリーズ=ブラッド・フィーデルのテーマが多くのファンの頭に刷り込まれてしまっているのではないか)ため仕方がないともいました。