Roo's Labo

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人材マネジメント論(高橋俊介)

一言でいうと

自社のビジネスモデルに合わせて、人材マネジメントのあり方を考えよう。

わが社にとってのふさわしさを追求して作り上げた、わが社らしい独自な人材マネジメントだからこそ、そこに優位性が生まれるのであって、それを意図的に確立することが戦略なのである。

組織、人材のあり方について、自社のビジネス(平均点ではなく、優れた点をとって競争力を高める)をどのように強化するかという観点からわかりやすく整理されているのが良い点。他方で、事例の偏り・少なさ(スターバックスコーヒーは著者のお気に入りらしく何度も出てくる)が難点。

以下、学びのあった点をメモ。

ピラミッド組織と自律組織の違い

組織マネジメントという意味では、分業による単純化、階層による序列化のピラミッド組織と、プロフェッショナル化などによる自律的な組織は、「what→how→do→check」の仕事サイクルが、組織の序列の中で分業されているか、それとも第一線で自律的に回っているかの違いだと言える。別の言い方をすれば、組織の末端を具体的な命令によって管理していくのか、あるいは組織のコミュニケーションは抽象概念的な考え方で行われ、その先は第一線にあるチームや個人が自律的にこの仕事サイクルを回していくかという点が、根本的に異なるということだ。

人の優秀さの判断基準

仕事を通じて成果を生み出すことに、直接的ないし間接的に影響を与える人間の能力とは一体どんなものだろうか。私は、スキル、思考力、思考・行動特性、動機の四つに分けて考えることが必要だと思っている。

簡単にいえば、今何ができるか、何を知っているかがスキルなのだ。

思考力の典型が、論理的思考力と創造的思考力である。前者は、論理を積み重ねていって、予め存在している答え(正解)にたどり着く思考力であり、後者は正解のない問いに対して自分なりの答えを考えつく、あるいは作り出す思考力のことだ。

思考・行動特性という能力は、(中略)コンピテンシーという言葉とかなりオーバーラップする。(中略)思考・行動特性の方は、その点数を取るのに必要長く収納力だと考えればいいだろう。

やる気は外的環境に強く左右される。一方動機というのは、その人の内部から湧き上がってくる固有のドライブのことだ。私は動機を以下の3つに分類している。アチーブメント型、リレーション型、エンゲージメント型

 

幸せとは何かについて考える部分。これはのちのキャリア論につながっていくのだろう。

たとえ内的コミットメントと自律的な組織を実現できたとしても、それが長い人生の中で素晴らしい意味をもち、人の幸福を担保するとは限らないという事実が、人材マネジメントの次なる大きな課題になるであろうことを予測して、この本を終えることにする。

 

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