Roo's Labo

腕時計、ラーメン、読書、美術、ときどき仕事

コーン・フェリー・ジャパン『Future of Work』

人事部の分野では世界的に有名なコーン・フェリー・ヘイグループの日本オフィスで働く複数のコンサルタントが、雇用や働き方、キャリアの将来の姿を予測しつつ、企業・個人はどのように向き合うべきかを、自社の調査結果等を中心に紹介する。

トピックは、日本企業の雇用の行方(総論)、時代が求めるリーダーシップのあり方、経営体制・ガバナンスの在り方、組織風土の活性化、DE&I(Diversity, Equity and Inclusion)、自律的なキャリア開発の全6章。

さすがコンサルタントだけあって、論点がまとまっていて読みやすい。ところどころ、これは、とひざを打ってブックマークした箇所も複数ある。しかし、どうも腑に落ちないというか、すっきりしない思いがある。それは、20年前、2000年前後の成果主義導入の際の文脈と、本質的な議論は変わらないのではないかということ。もちろん、ダイバーシティの推進だったり、ガバナンスコードが入って社外取締役が増えたというような各論の変化はあるものの、企業と個人が対等に自立した個として選び・選ばれる関係をというのは20年(あるいはもっと前から)言われていたことではないだろうか。この本の問題では全くないのだが、変わらない(進歩しない)人事の業界を思うと少し気分が暗くなる。そんなことを考えた一冊だった。

 

UK Energy Billのスピード感に驚く

今となっては旧聞に属する話だが、9月の頭まで多くの英国居住者は10月から著しく値上げされるというエネルギー代金に戦々恐々としていたのではないか。そんな折、新たに就任したリズ・トラス首相率いる英国政府は、一般家庭の年間電力代金を25,000ポンドを上限に2年間据え置くという案を発表した。

www.gov.uk

From 1st October, a new ‘Energy Price Guarantee’ will mean a typical UK household will now pay up to an average £2,500 a year on their energy bill for the next two years. This is automatic and applies to all households.

驚いたことは2点あって、首相就任から2日後(確か)というスピード感で発表されたこと。日本であれば、調整に膨大な時間を要すると思われ、この速さは驚き。もう一点は、財源。報道では、25兆円ともされる経費をどのように調達するのか。ファクトシートというページには、エネルギー企業のコスト削減と、供給増加に向けた複数の施策も記載されている。

Energy bills support factsheet: 8 September 2022 - GOV.UK

政策の当否はともかく、コロナ対応においても日本人の感覚からすると驚くほどスピーディに決めて、実行する(そして間違っていたら次の策を取る)ところは英国政府のすごさだと思う。しがらみとか、調整とかをあまり勘案せずに実利を追求するスタンスというか、そのあたりはうらやましい。

 

海外出張用理想の腕時計とは・・・?(7つの条件)

新型コロナウィルスとの共存が進む欧州。海外出張で外国を訪れる機会も増えてきた。そんなわけで、海外出張時に理想の相棒たりうる腕時計の条件を7つ考えてみた。個人的に前半の4つは必須条件、残り3つが有れば望ましい要素と整理している。

①タフであること(優れた防水・耐衝撃性能)

出張先では突然の天候変化に見舞われることもしばしば。また、急いで移動するなかで腕時計をぶつけてしまうリスクも高い。従ってすぐれた防水・耐衝撃性能を備えていることは必須である。

②時刻操作が簡単にできること

英国・フランス間がわずか2時間(ユーロスター)で移動出来る様に、欧州にあっては国境を越えることはカンタンだ。他の地域であっても、海外出張ならば時差調整は避けられない。そんな時、リュウズを回して手早く現地時刻に合わせる機能は、出張をスムーズに進める上で欠かせない。

ハッキリ言って、Gショックの時刻変更方法は難しくて覚えられない。。

③高価過ぎないこと

これは結構大事な項目と思っている。あまりにも高額な腕時計は犯罪に巻き込まれるリスク要因になる。また、空港の保安検査をはじめ、腕時計を外さざるを得ない機会もある中で、最悪紛失しても諦めがつく価格帯であることは、重要な条件ではないか。

④機械式であること

長期出張では特に、クォーツ(電池式)腕時計は電池切れのリスクがある。また、スマートウォッチも、頻繁な充電が必須で、途上国を長期間訪れる際や急なアクシデントで充電環境がない場合に不安がある。機械式時計なら腕を振る(もしくは巻き上げる)だけで時を刻むことができ安心だ。

GMT機能があること

出張先から、本国と連絡を取る時、何時なのか即座に分かればスムーズに仕事を進めることができる。その意味で、2箇所の時刻を同時に確認できるGMT機能があれば、心強い。

⑥日本製であること

ビジネスにおいて、相手の身だしなみからどんな性格・志向の持ち主か推しはかる場面は多くある。海外出張時も同様だ。海外のビジネスパートナーに対し、日本のモノづくりの粋さ・技術力の高さを感じてもらい、良好な関係を築く上で、日本製であることは強力な武器となる。

⑦軽いこと(疲れないこと)

出張時は荷物も多く、不慣れな環境で疲労が溜まりやすくなる。身体への負担を極力減らすためには、軽いにこしたことはない。

 

そんな条件を満たす理想の一本とは・・・。

残念ながら、上記の条件全てを満たす時計は持っていない(期待された方すみません)。筆者が使っているのは、SEIKO SBDC101. セイコーから近年リリースしたダイバーズウォッチで、200m防水、サファイアクリスタルによる風防・ステンレススティールのブレスレットとも防キズ加工がなされていて、堅牢・防水性能は申し分ない。価格も(決して安くはないが)日本円で10万円強と、スイス製高級時計のような水準ではない。おしむらくは、GMT機能がないのと、決して軽くないこと(体感150g近くある)。その意味で、上記①〜④に加えて、⑥を満たす。日本への一時帰国を含め、海外に出る際は必ずお供にしているが、いつもタフで正確、頼れる相棒である。

 

 

読者の方で、これはという時計があればぜひ教えてください。

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フランスの風力発電

Wikipediaによると。フランスの風力発電容量は、欧州で5番目の水準とか。そういえば、滞在中に利用したUberは、いずれも電気自動車でした。その背後には、国を挙げてのEV推進政策があるようです。一方、宿泊したホテルでは、歯ブラシ以外のアメニティ(シャンプーやボディソープ)は普通に備え付けてありました。この辺は環境保護を理由にほとんど何も提供しないオプションもありうるかと思いますが、そこまでは行っていないようです。こういうことも、現場をみないとわからないことで、これからも積極的に現場に出ることが大切だなと思いました。これでは昨日と同じ結論。。下調べした仮説を現場で検証したり、現場で気になったことをデータや数字で検証したり、そういうサイクルがより良い判断には大事かもしれません。

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ユーロスターの車窓からみた風力発電の風車

出張

某国に出張に来て、現場を見ることは大事だなと改めて思った。車窓から見えるはてしなく続く草原と風力発電の風車だったり、ロンドンとは異なる石畳や装飾的な街並みだったり。外食で物価の高さに驚いたり(ラーメン一杯3,000円!)。そして何より現場で働いている人と話をし、現地の事情を聞いたり、食事をして人柄に触れたりするプロセスはとても価値があると感じる。現場に出なくても、数字やデータや情報から一定の仮説は疲れるけれども、現地で一次情報に触れることは机上とは比較にならない情報量がある。これからも、できるだけ前線に出て現地の人・現場に触れていきたいと思った。

 

初日

娘が英国の小学校(レセプションクラス)に初めて登校し、無事昼過ぎまで過ごすことができた。苦手なオレンジを食べたり、トイレに行くと伝えることもできたそうだ。初めて会う子ばかり、また、周囲が皆外国語を話す環境の中でよくサバイブできた。わが子ながら、よくやったと思う。今週いっぱいは慣らしの期間で、昼食後に帰宅するスケジュールだが、週明けからはフル(といっても3時過ぎまで)で過ごすことになる。陰ながら応援することしかできないが、引き続き見守っていきたい。

追伸①英国の小学校の登校風景には驚いた。多くの子が、キックボードのようなものにまたがって通学している。小さな子は、自分が載ったボードをお屋に引っ張ってもらっていた。たしかに、歩くよりスピードが出て効率的だ。

追伸②学校でどんなことがあったか色々話を聞いたところ、東京の保育園時代に同じクラスで気になる男のことよく似た子がクラスにいることが分かったらしい。まだ4歳で異性に興味を持つのは早いと思うのだが・・・父は心配である。

追伸③食事の際に、thirsty(喉が渇いた)と話をしていた。sleepyもわかるそうだ。日常の表現は一回聞いただけで覚えているのではないかと思えるほどで、4歳児の吸収の速さは驚くばかり。

 

石田雅彦『企業価値を高める組織・人材マネジメントの思考と実践』

大変勉強になる良書で、人事に携わる中堅・若手の企業人であれば読んで損はない。

理由は、企業価値の増大という大目的のため、人事(施策)はどうあるべきか(具体的には、戦略的人材ポートフォリオとは何でそれをいかに実現するか)を体系的かつ実務に適用可能な形で整理しているため。人事施策の担当者であれば、「戦略的人材ポートフォリオの実現」という観点で、自らの業務を見直す良い機会となる。

自戒を込めて言うのだが、人事担当者は往々にして、目の前の業務に追われ、なんとなく日々のタスクをこなしているうちに、仕事をしているつもりになってしまい、自分たちの業務が本当はどのような目的で行われているか、わかっていない

本書の最大の良さは、人事業務の目的を説得力あるかたちで示したことにあるが、その実現のため、各論(採用・配置(異動)・教育・評価・処遇の「人事5大機能」)として打つべき施策も平易な表現で整理されており、実務上の指針とすることができる(紙幅の都合か、あっさりした記述で概要の紹介にとどまっているのが残念)。

全体を通して、派手さや突飛な主張はない。ただ、こうした目的意識のもと、人事5大機能を整理して実行し、PDCAを回すことができれば、十分企業の競争力を高めることができると思う。